シャンパーニュ(シャンパン)の銘柄には、1本数万円するようなものがあります。またそれどころではない、もっと高価なものも存在します。そんな高級シャンパーニュ(シャンパン)は何が違うのでしょうか。それは一般に、特別な畑で栽培された、特別な年のぶどうが使われていること、そして長い熟成期間を経てリリースされることです。複雑な味わいで、長く続く余韻も楽しめ、忘れられない感動を与えてくれる高級シャンパーニュ(シャンパン)についてご紹介します。
なお、高級シャンパーニュ(シャンパン)のことを、プレステージ(またはプレスティージュ)・シャンパーニュ(シャンパン)と呼ぶことがありますが、
・シャンパーニュ(シャンパン)のカテゴリー全体で見た中で高級である、
・あるメゾンの中で、スタンダード・キュヴェよりも上級である、
という、2パターンの意味合いで使われます。
特別な畑(グラン・クリュやクロ)で栽培された、特別な年(ミレジメ)のぶどうが使われているのが、高級シャンパーニュ(シャンパン)が高級たる所以です。ここでは、グラン・クリュ、クロ、ミレジメについて、ご説明します。
シャンパーニュ地方では、「村」単位で格付けがされています。100%の格付けがされた村がグラン・クリュで、17の村が選ばれています。グラン・クリュの村で栽培されたぶどうのみを使っていると、ラベルに「グラン・クリュ」と表示することができます。
なお、90~99%の格付けの村は、プルミエ・クリュで、42の村があります。
クロとは、石垣という意味です。同じ村の中にある畑なら、格付けとしてはどれも同じとなりますが、実際は、土壌や日当たりによってそれぞれに個性があり、中には傑出した区画が存在します。そんな区画は、たいてい石垣や壁で囲われていて、クロと呼ばれます。そして、クロで栽培されたぶどうのみで作られるシャンパーニュ(シャンパン)は、名前にクロ・〇〇と、区画名がつけられます。グラン・クリュよりも、さらに高級と言えます。
いわゆるヴィンテージ・シャンパーニュ(シャンパン)のことで、一般的なシャンパーニュ(シャンパン)のように、複数年のワインをブレンドするのではなく、単一年のぶどうから作られます。毎年ではなく、ぶどうの出来が良い年のみに作っているメゾンもあります。
商品によっては、ミレジム(Millésime)となっていることもありますが、意味は同じです。ミレジメが形容詞、ミレジムが名詞です。
高級シャンパーニュ(シャンパン)の中でも、特に希少性が高いこともあって、最高級と言われる7銘柄をご紹介
アンボネ村(グラン・クリュ)にある0.68haの小さな区画、クロ・ダンボネで栽培されるピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワール。単一畑、単一品種、単一年のシャンパーニュ(シャンパン)です。12年の熟成を経て出荷されます。1995年が初ヴィンテージです。生産量は、年にわずか5,000本ほどです。
スタンダード・キュヴェのドン・ペリニヨンは、最低8年熟成させますが、それを20年熟成させたものが、レゼルヴ・ド・ラベイです。ラベルがゴールドなので、俗にドンペリ・ゴールドと呼ばれます。フランスと日本以外では、ほとんど販売されていない希少品です。ピノ・ノワールとシャルドネのブレンドです。
クリスタルは、1876年、ロシア皇帝アレクサンドル2世からの命を受けて作られた、皇帝専用の最高キュヴェ(当時はクリスタル製のボトルでした)を起源としていて、世界最古の高級シャンパーニュ(シャンパン)と言われます。熟成期間は6年で、澱引き後、さらに8か月安置されます。ピノ・ノワールとシャルドネのブレンドです。
卓越したブレンドの妙を表すことを哲学とし、例えばフラッグシップの「ブリュット・ゴールド」では、3つのヴィンテージの、3種類のぶどう(シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエ)がブレンドされています。また、金属でコーティングされたボトルに施された、印象的なスペードのエースは、職人たちが、ピューター(スズが主成分の合金)のラベルを手作業で貼り付けています。
ル・メニル・シュール・オジェ村(グラン・クリュ)のシャルドネのみで、木樽を使わずに作られる。究極に純粋なブラン・ド・ブランです。最低でも10年は熟成させます。また、優れたヴィンテージにしか作られないので、メゾン設立以降の約100年間で、リリースされたのはわずか30数回という、徹底的なこだわりを持つ高級シャンパーニュ(シャンパン)です。
グラン・クリュとプルミエ・クリュの、ピノ・ノワールとシャルドネから作られ、最近のリリースは、13年間熟成させた、ヴィンテージ2004です。R.D.とは、「最近デゴルジュマンされた」という意味です。長い熟成を経ているけれども、澱引きされたばかりのフレッシュさも楽しめる究極のシャンパーニュ(シャンパン)というコンセプトで、ヴィンテージ1952から作られています。
マレイユ・シュル・アイ村(プルミエ・クリュ)の守護聖人・聖イレールにちなんで名づけられた、約1haの区画「クロ・サンティレール」のピノ・ノワール100%なので、単一畑、単一品種、単一年のブラン・ド・ノワールです。1995年が初ヴィンテージです。生産量は、年にわずか3,500~7,500本という希少さです。
ここでご紹介した7銘柄は、ヴィンテージにもよりますが、安くても3万円ほど、高いものでは50万円もします。普段はなかなか手を出せない金額ですが、例えば、何かものすごく頑張って、目標を達成した時の自分へのご褒美や、お祝いにボトルシャンパーニュ(シャンパン)はいかがでしょう。より強く思い出に残る頑張りになるかもしれませんよ。