シャンパーニュ界の革命児と言われるRM(レコルタン・マニピュラン)の奇才、アンセルム・セロス氏がシャンパーニュ(シャンパン)作りを始めて約40年が経ちました。息子のギヨーム氏に世代交代される日もそう遠くはないようです。父の偉大さを知り、その偉大な仕事をぜひとも継ぎたいという強い思いを持つギヨーム氏。今後注目すべき人物です。
コート・デ・ブラン地区のアヴィーズ村を拠点とする、2代目のアンセルム・セロス氏が当主のメゾンです。セロス家は代々ぶどう栽培をしていて、アンセルム氏の父親のジャック氏が1949年に元詰めを始めました。現在は8haの畑を所有しています。
ブルゴーニュ地方の醸造学校で学び、メゾンに戻ったアンセルム氏は、1980年頃から、シャンパーニュ地方では前例のないやり方を取り入れたシャンパーニュ(シャンパン)作りを始めました。これまでの慣習とはまったく違うやり方に、当時は周囲から変人扱いされたそうですが、天才的なセンスから生み出されるシャンパーニュ(シャンパン)は世界中の人々を魅了し、今やRM(レコルタン・マニピュラン)のカリスマに君臨しています。
そんなアンセルム氏の長男・ギヨーム氏が、現在、3代目としてメゾンを継ぐべく研鑽を積んでいます。
1990年生まれのギヨーム氏は、科学系の高校を卒業した後、ボルドー地方のワインビジネススクールで学びました。専門学校で学ぶうちに、自分の父がいかに素晴らしいシャンパーニュ(シャンパン)を作る、偉大な人物なのかを理解したと言います。
2012年から、本格的にジャック・セロスで仕事を始めました。現在は、ジャック・セロスでのシャンパーニュ(シャンパン)作りに加えて、自身のブランド「ギヨーム・エス」も立ち上げています。
ギヨーム氏個人が持つ、ごく小さな畑のぶどうから作られるのが、ギヨーム・エスです。この畑は、18歳の誕生日プレゼントに、祖母が買ってくれたものとのことです。そしてこのプレゼントは、父と同じ道に進む決心をするきっかけにもなりました。
ギヨーム・エスには、ブラン・ド・ブランの「オー・ドゥス・デュ・グロ・モン」と、ブラン・ド・ノワール(ピノ・ノワール)の「ラルジリエ」があります。樽熟成に3年を費やし、その後、瓶内2次発酵、瓶内熟成を経て、収穫から7年という長い年月をかけてリリースされます。年間生産量は小樽1個分(225L)です。
自分の感性で、自分なりのやり方で
突き抜けた考えを持ち、独自の路線を貫いてきたアンセルム氏ですが、自分のやり方を息子に押しつけるつもりはないと言います。教えてきたのは、自分の感覚、感性を大事にして、その年のぶどうの持つ個性を最大限に引き出すための、やり方ではなく発想の仕方だということです。
そして当のギヨーム氏も、メゾンでの仕事を始めた頃にはまだ見えていなかった、自分なりのやり方や哲学ができてきたと言います。世代交代されるようですが、これからもっと経験を積んで、自分の感覚をさらに探求されていくことと思います。
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