お待たせしました。ランスにあるワインショップのNicola Papaveroが友人でもあるクリュッグの当主Olivier Krugとインスタライブのフランス語配信の後半編をパリ在住の友人に翻訳して頂いたので、続きをご紹介します。
Nicola Papavero;N Olivier Krug:O 以下略
O:2001年の一緒に飲んだグランキュべを覚えていますか?
クリュッグのデギュスタシオンで3〜4つのキュベを飲みましたが15年来話していなったですね。クリュッグの素晴らしさがあると思います。
N:音楽との融合について話してもらえますか?
かなりクリュッグの独自性だと思うのですが、168についてもそれとも進行している途中なのか。
O:それはもちろん行なっているところです。
音楽との融合は私も大好きな事ですし、皆さん気にかけていますし、メゾンの独自性でもあり、音楽はクリュッグの心だとも言えます。
音楽とシャンパーニュのマリアージュはシェフとソムリエが料理とワインと料理の会話をし、ワインのマリアージュを作り上げていくのと同じ過程です。
ミュージシャンを招待してデデギュスタシオンをして、そこで作り上げて行くこともあります。先入観がなく行われていくことに興味があります。
例えばパリの若いアーティストグランソレイユは全くクリュッグを知らなかったのですが、彼らにクリュッグに来てもらいました。我々は様々なことを説明するのが好きなので。
ここ何年かサイエンティフィック アンスティテュミュージックがパリのポンピドーセンターにあるのですが、そこで音楽を科学的に研究する機会持ったりしています。
ミュージシャンをクリュッグを送り、デギュスタシオンにより音楽を作るというような研究もしています。
N:クリュッグの音楽との融合については2つの大きな思い出があります。
一つは、ベーグ、グレークポーターもう一つはシャンポンノワーズ、ラップを聞きながらのディナー本当に素晴らしかったです。
ワインと料理のマリアージュにエモーションをプラスするという効果があると思います。
O:旅行に行き、個人的なソワレを楽しむ時に、音楽がかかっていますよね。
同席する人の中で1〜2人面識のない人がいるとしますね。人見知りというか、あまり馴染めないことがあったりします。そのような時、音楽はユニバーサルなので、感じることが出来るものであり、そこでつながることが出来るのです。
音楽ありとなしでデギュスタシオンで感じるもの違います。本当に素晴らしいと思います。初対面では心理的に壁を作りやすいと思いますが、それを音楽が取り払ってくれるという利点があります。
N:例えばボサノバという音楽がありますが、頭ではなく体で感じるもので素
晴らしい体験でした。ワインも同じですね。
O:新しいグランキュベ、No.168の発売はフランスでは夏が終わり、9月〜10月、その後にアメリカ、日本、イタリアなどに発売する予定ですが、もちろん季節と在庫の状況によります。3カ月くらい時差が生じるかもしれません。
N:いつも旅に出ているオリビエさんですが、移動制限令の中で、今の状況を
教えてください。
O:30年のキャリアの中で初めて飛行機に乗らない1カ月を経験しました。
予定にフライトスケジュールがまったく無いのです。
クリュッグのメゾンでは、外出禁止前から安全のため自宅に帰したり、距離を保ったりしながら自粛をしていました。
もちろんぶどう畑で働かなければいけないチームは、私のように日やけして良い顔色になっています。バルコニーや庭で楽しんだりもしています。
史上最高に暖かった1924年の春のように、今年もぶどうの成長が早く、皆、個
人の車でぶどう畑に行って作業をしています。
もちろんソーシャルディスタンスを保ちながら作業をしています。
クリュッグは小さい会社ですが、別の小さいチームはオペラシオンロジック(論理演算)*1を担当していて、6月の上旬か中旬にティラージュ*2 をしますが、クリュッグでは一年中するわけではなく、3週間もないくらいの短い期間に行
います。
*1 メゾンの味(クリュッグシャンパンの味)を得るには、ワイン(非ヴィン
テージの場合は異なるヴィンテージ、異なる区画、異なる樽または大桶など)
を組み立てる(混ぜる)必要があり、それを行う作業
*2 混合物を定義したときにこれらを描画するには、ボトルを計量してワイン
を熟成させ、アロマ、そして泡を発達させる工程
一度でオフィスで、前回のアッサンブラージュ(混ぜる)のデギュスタシオンをしましたが、ジュリーとカーヴのシェフシェフであるエリックベルが着任しての初めてのことでした。
今回はこのような状況なのでソーシャルディスタンスを保ちながら記録をしていくという難しいことになりました。
N:今から今後についての継承について教えてもらえますか。
O:非常に自然な形で継承を行っています。
先程お見せしたレシピが書かれたカルネ(継承本・ノート)がありましたが、
これを使い、祖父、父、叔父から受け継いで私もそれに従って来ました。もち
ろんエリックが受け継いでいきます。
ジュリーは2006年から既に13年にわたってオペラシオンロジック(論理演算)を勉強しています。彼女は他のプロジェクトも考えていて、いつか機会があったらお話ししたいとおもいますが、次世代のよい候補であり、沢山アイディア
もあり、熱意もあります。
今後のクリュッグについて気候やワイン畑にいての耐
久性なども考えています。
N:エリックはどのような役割を担っているのでしょうか。ディレクターなの
か、コンサルティングをしているのかなど。
O:エリックはディレクター デレゲ コンサルティングなので方向性を決め
る役割があります。また、クリュッグはLVMH モエ ヘネシーの傘下にあるので、そちらとのコミュニケーションや対応で非常に忙しくしています。
N:サーブする際の温度などについて質問をしたいのですが、クリュッグはリー
デルで専用のシャンパーニュグラスを作っいますね。
私はリーデルの専用グラスで飲んでいます。
O:とても珍しいですね。
N:リーデルのグラスについて、グラスとシャンパーニュの関係について話し
てもらえますか。
O:君のことではないが、残念ながら、シャンパーニュを飲むためのグラスに相性の悪いグラスが多いです。ワインのクオリティを尊重しないグラスは本当にスキャンダルだと思っています。
このことについて長々と話すつもりはありませんが、畑からタンクから樽からずっと愛情を持って育てているクリュッグがグラスとの相性が悪いと何も感じない。それは悪い兆しであると思っています。
私たちはシャンパーニュをこのような危機的状況から脱出させ、将来的にもっと一般的に別のステージに高めたいと考えています。
ヴェルディが生涯を通して、石炭技術を使わずに前進したように、シャンパーニュは喜びの全てです。そしてこの状況は私が今まで見たことがないような喜びを阻害する敵なのです。
N:レストランles crayères Reimsのシェフソムリエはフィリップジャネットがシャンパン用のグラスを作りましたが、彼はシャンパーニュの飲み方や楽しみ方に関するリーダー的な存在と言えるのでしょうか。
O:ワインと言ってもvin de plaisir ワインの喜びと言えるが、あなたのワインをどう思うかとよく聞かれるが、ワインではない、私はシャンパーニュだと答えます。
世界中のワインの中で、1000本に1本はシャンパーニュです。
でもシャンパーニュは特別な地域、素晴らしい。シャンパーニュはもちろんワインの一種ですよ。
本当に些細なことかもしれませんが、シャンパーニュのクリュッグなのです。
例えば外出禁止に入る前の土曜日の夜、チーズや好きなものを一緒に楽しむそれがシャンパーニュなのです。
N:そうですね。
オリビエがインスタライブに参加してくれるのは本当に貴重なことなので。
O:親友のリクエストだから、珍しいことですが、大歓迎ですよ。
N:ありがとうございます。まだ少し時間があるので、皆さんも質問があった
ら躊躇わずに聞いてくださいね。
ライブ中に上がった質問を見てみますね。
O;アメリカの視聴者も見ていますね。ジェミーさんこんにちは。
N:視聴者の感想「初めてクリュッグを飲んだのは20年前。飲んだ時のことは大
きな感動として残っています。」O:その通りです。感じの良いコメントですね。
それはとても大切なことなのです。
良い例を話したいと思うのですが、20年前クリュッグをお客様に提供したことが
ありました。フレデリック ブシェはまだ知られていない頃で、ちょっとした
賭けでもありました。
初めの年にそれを行ったのですが、信じられないことにまだ星がついていないレストランで、他のレストランの影に隠れているような状態でした。
彼のレストランは一年で、ドイツで1番のクリュッグを提供する店になりました。
君も特別な夜にクリュッグ、デゥヴェニールやマグナムを開けたりすることもあ
ると思う。
私にとっては本当に大切なのはちょっとした機会に、クリュッグを誰かに味わってもらうことなのです。
いつのことは定かではないのですが、君と僕との関係だから言うけど、お父ささんにエピソードを聞いてみて、誕生日に誰かとお店の前で全くクリュッグを知らない大きな車に乗っていた人にクリュッグを販売したことがあります。
クリュッグをあまり知らないあなた達のような人達に、適正なグラス、適当な温度で、24〜36カ月寝かした熟成パルメザンチーズなどと楽しんで欲しい。168のように特有で多様性のあるシャンパーニュは本当にとても素晴らしいです!
N:例えば18ヶ月〜24ヶ月熟成させたトリュフ風味のコンテチーズ。サーブされた時は冷たいですが、その状態から少しずつ温度が上がって風味が立ってくると完璧です。
3つ星のレストランに限らず、もっとシンプルに味わう機会を楽しんでほしいと思います。
O:ファキュリテドグランシャンパーニュ(シャンパーニュ学部)について話してなかったが、君もリスト持っていると思うが、私達の秘密でもあります。
熟成されたシャンパーニュは時に熟成ワインを超えるほど素晴らしいものです。
出されたボトルを見て、その通りです。
それは飲まないで!
N:これは一緒に飲んだ時のボトルですよ。熟成していましたね。
N:質問があるのですが、次のミレジメは秘密ですか?
O:(視聴者の)オリビエこんにちは。彼はインスタでもよく尋ねて来てます。
次は2006年になるとは思いますが、市場に出すタイミングはまだ決まっていません。
何回かデギュスタシオンをしないといけないので。
知っていると思うけど、出す年はいつも順番ではなく変わることがあるので、最近では2回ほど違ったことがあったのですが、2009年を2008年の前に出したり、2002年の前に2003年をだしたり、逆転させたことがあります。
N:168の詳細についてはどうですか。
O:あまり詳細は言えません。今はスッキリ酸味・ミネラルがあるコンプレックスなキュベに仕上がっています。
198の要素(古いビンテージなど様々なものが入っている)の複合でとてもリッチで均一化されています。2006年も198の要素を構成する一つです。
N:最初にワインを飲んだのはいつですか?
O:自分の生まれた年から飲んでいるくらい随分昔です。
今日はランスでPSG(パリサンジェルマン)との対戦のサッカーの試合があったのですが、それは中止になりました。
話題も趣味の話しに変わったので録画終了。
最新のエディション168についてここまで、発売前に知る機会はないので本当に貴重なインスタライブでしたね! 年内に日本発売されるなら是非とも購入したいシャンパーニュ。
Le Vintage Reimes
ビンテージワインショップ
火曜日〜土曜日 10時〜13時 16時〜18時30分
外出禁止中の難しい状況
ウイスキービンテージショップ
水曜日〜金曜日 14時〜16時
オンラインFacebookからオーダー可能
https://www.facebook.com/LeVintageReims/
今回の翻訳者
パリ在住のフリーの日本語教師 フォシェ美江さん
パリ×東京ライフスタイルブログ