ワインのおつまみと言えば、「チーズ」と答える人も多いと思いますが、シャンパーニュ(シャンパン)にしても、チーズと合わせると、とても幸せな気分になります。ワインに限らず、お酒に合わせる食べ物は、その土地のものを選ぶと間違いがないといいます。シャンパーニュ地方にも代表するチーズがあります。そこで今回は、シャンパーニュ(シャンパン)に合わせる、チーズを10種類ご紹介します。
牛乳から作る白カビタイプのチーズです。12世紀に、ブルゴーニュの修道士によって造られた歴史の長いチーズになります。名前の由来は、シャンパーニュ地方の南端にある「シャウルス」という小さな村の名前から取っていて、その南はすぐにブルゴーニュのシャブリが、位置付けられています。
最低15日の熟成期間が、決められており、白カビで覆われた皮は薄く、中身はすこしホロホロしているので、オメガナイフというチーズナイフを使うと、うまくカットできます。香りは、優しいミルクの中にフルーツが入ったようで、口に入れると、溶けてなくなりそうなくらいのまろやかさがあります。
優しい味なのでNVのブリュットと合わせるのがおすすめです。
シャンパーニュ(シャンパン)好きなら、ご存じの方も多いのではないでしょうか。チーズの中央にくぼみ(泉と呼ばれています)があり、そこにシャンパン)を注いで食べるという食べ方があります。
原料は、牛乳で、ウォッシュタイプのチーズです。本来チーズは、製造過程で形を整えるため、反転しながら作るのが通常なのですが、こちらのチーズは、反転せずに作るため、このようなくぼみができ、それが特徴になっています。皮は、明るいオレンジ色で、ウォッシュタイプ独特の香りは、優しい印象です。中身は、とてもしなやかで軽い酸味、フルーティな味わいです。
合わせるシャンパーニュ(シャンパン)は若いヴィンテージではいかがでしょうか。
ハード系のチーズです。フランスで最も生産量の多く、ジュラ地方で造られており、山のチーズとして有名です。船でローマに運ばれ、古代ローマ人にも、食べられていたというほど、古い歴史を持ったチーズです。平均50kg程もある車輪のようなチーズで、熟成期間は、最低でも120日と長く、その間に水分が抜けて、うまみ成分が生成されています。
中は、目の詰まった優しい黄色をしており、香りは、ナッツや爽やかなフルーツの香りも取ることができます。食べてみると、濃厚な中にもしつこくなく、長い熟成のおかげでうまみ成分も感じ、ほくほくした栗のような触感と後味があります。
このチーズ、シャンパーニュ(シャンパン)オールマイティに合わせやすいです。
シャンパーニュ地方の西の方、ノルマンディ地方が発祥です。こちらも、シャンパーニュ(シャンパン)に、よく合うチーズです。熟成が若いものや、原産地呼称のついていないスーパーで売っているものなどは、香りも味も優しく、軽やかでクセがなく、気軽に飲めるNVのブリュットに合います。
また、熟成が進んだものになると、香りはキノコやナッツのようなかぐわしい香りに変化し、味はうまみ成分が、多くなり味わい深くなります。食感は、柔らかくとろりとした触感になり、ヴィンテージ・シャンパーニュ(シャンパン)や、黒ブドウの比率が高いものが、おすすめです。熟成の違いで、食べ比べ飲み比べも楽しんでみるのもいいですよ。
思わず形で買ってしまうチーズの一つで、ハートの形のチーズがあります。これもシャンパーニュ(シャンパン)に、おすすめのチーズです。シャンパーニュ地方よりも北、ノルマンディ地方の豊かな、酪農地域で作られ、名前の由来も「ヌーシャテル・アン・ブレイ」という村の名前からきています。
白カビタイプの牛乳のチーズで、何といっても目を引くのが、その形です。ハート以外にも樽型や四角などもありますが、是非、ハート型のラベルのシャンパーニュ(シャンパン)と合わせてみてください。味わいは、北の方の特徴によくある、少し塩味の強いものになり、シャンパーニュ(シャンパン)がすすみます。
シャンパーニュ地方のすぐ近く、ワインの銘醸地でもある、ロワール地方で作られているチーズです。原料は山羊乳で、シェーブルタイプです。薪のような形をして、全体に黒い灰がまぶされており、真ん中に藁が、1本貫通していると言う、とても珍しい形をしています。
まだ熟成が進んでいないときは、山羊乳特有の香りがあり、ポソポソした食感が、シャンパーニュの泡と口の中で相まって、とても複雑な、マリアージュを醸し出します。合わせるシャンパーニュ(シャンパン)は、チーズの酸味に合う、ブラン・ド・ブランがおすすめです。熟成が進んだものは、ロゼかブラン・ド・ノワールを合わせてみてください。
期間限定で作られる「モン・ドール」は、チーズの真珠といわれ、チーズ好きは、その期間こぞって食べるチーズです。コンテと同じ場所で作られていて、同じ牛乳で作られますが、形も作り方も、全く違っています。
ウォッシュタイプです。モミの木の皮で巻かれていて、モミの木の棚で熟成させます。しばらくすると、皮がロゼ色になり、中のチーズもとろとろになります。ウォッシュタイプ独特の香りもしますが、モミの木の香りも相まって、爽やかで複雑な香りがしています。味わうときは、スプーンですくって食べると、濃厚なミルクの味に木の香りが移っていて、香りとともに、複雑な味わいを感じることができます。
合わせるのは、熟成の進んだブラン・ド・ブランがお薦めです。
イタリアのチーズも、シャンパーニュ(シャンパン)に合う、チーズがあります。その一つとしてお薦めは「ブッラータ(Burrata)」です。しっとり真っ白で、丸っこい形です。作り方に特徴があり、ナイフを入れると、とろりと生クリームが溢れ出てきます。香りはミルクと、名前の由来であるバターの香りがあります。
味わいは、たんぱくで優しいミルクの味です。シャンパーニュと合わせる時は、イチゴや桃、イチジクなど季節のフルーツと素敵に盛り付け、デザートの一皿として合わせてみてください。
シャンパーニュは、フルーツに合わせて、軽いロゼやブラン・ド・ブラン、ブラン・ド・ノワールもお薦めです。
日本では渋谷のCHEESE STANDで購入できます。
ブルーチーズは、シャンパーニュ(シャンパン)に合わせるイメージはありませんが、ブルーチーズが好きで、シャンパーニュ(シャンパン)も好きな方には、イタリアの「ゴルゴンゾーラ ドルチェ(Gorgonzoia Dolce)」がいかがでしょうか。ゴルゴンゾーラは、ドルチェ(甘口)と、ピカンテ(辛口)があり、お薦めのドルチェは、デザート感覚の中に、ちょっとピリッとする塩味があります。作曲家ロッシーニの手紙にも出てくる有名なチーズです。
牛乳で作られており、大理石のような青かびが、特徴です。香りもピカンテに比べて穏やか、味も白い部分は、とてもまろやかで、ミルクの甘味が、十分感じられます。青かび部分の塩味はかすかに感じ、お酒が飲みたくなります。
お薦めのシャンパーニュ(シャンパン)は、黒ブドウの多いブラン・ド・ノワールか、ロゼです。
アルプスの少女ハイジに登場する、スイスのチーズ「ラクレット(Raclette)」もシャンパーニュ(シャンパン)におすすめです。フランス語のラクレ(=削り取る)が、名前の由来になっています。切り口を暖炉にかざし、溶けた部分を削り取って、バゲットやジャガイモにかけて食べるのが、伝統的な食べ方です。少し塩味の聞いた、味わいとうまみ成分の香りが、シャンパーニュのうまみ成分ととてもよく合います。また、バゲットやジャガイモの食感と、溶けたチーズにシャンパーニュの泡が加わると何とも言えない味わいが口の中に広がります。
合わせるシャンパーニュ(シャンパン)は、樽熟成したブリュットや、黒ブドウの多いものがお薦めです。